この記事では近年話題になることが多くなっているクォーターライフクライシスについて、その定義や原因、どのような人がなりやすいか、有効な対処法はあるのかなどを取り上げていきます。
最近なんだか毎日が面白くない、将来に希望が持てない、そんな憂鬱な日々を過ごしているなら、あなたもクォーターライフクライシスに足を踏み入れているのかもしれません。この記事を読んで、適切な対応をしていきましょう。
【この記事で伝えたいこと】
・クォーターライフクライシスとは20代後半から30代に多い、心理的な困難を感じやすい時期を指す。
・SNSにより、たくさんの人と関われることで比較する機会が増えた。
・クォーターライフクライシスは他人からの影響を受けやすい人がなりやすい。
・クォーターライフクライシスは誰でもなる可能性があり、対処法を知っておいた方が良い。
周りと比較するなと頭ではわかっていても、なかなか難しいですよね。私も周りの年収・待遇・仕事内容と比較して、転職を常に考えている時期があり、30歳の時に転職しました。以下記事では、30代で転職を考えている方向けに、成功させるコツを紹介しております。30代だから転職できないと思っている方はぜひご覧ください。
クォーターライフクライシスとは何か?
クォーターライフクライシスとは、主に20代後半から30代にかけて陥りやすい、心理的な困難を感じる時期を指す言葉です。
この概念は、グリニッジ大学のオリバー・ロビンソン教授が有名ですが、実際に言葉が初めて使われたのは書籍「Quarterlife Crisis: The Unique Challenges of Life in Your Twenties」が最初だと言われています。
クォーターライフクライシスに陥ると、不安感や焦燥感、気分の落ち込みを感じやすくなり、自分自身の生き方や仕事、友人関係について深く悩むようになります。場合によっては、睡眠障害やうつ状態になど深刻な問題につながるさえあります。クォーターライフクライシスという名前は、このようにさまざまな人生の危機を引き起こすことに由来しています。
クォーターライフクライシスは、特にアメリカやイギリスなどの先進国で広く知られている概念ですが、近年では発展途上国でも広まりつつあると言われています。
なぜ20代後半から30代で危機に陥るのか?
クォーターライフクライシスのような危機がこの時期に起きやすいのは、社会面や生活面においての変化や心理的なプレッシャーが重なることが原因とされています。
この時期は社会人としてのキャリアをスタートさせ、仕事や人間関係での悩みが増えてくる時期と重なります。社会人としての責任やプレッシャーの増加、理想と現実の乖離を感じ始めるのもちょうどこの時期です。さらにはプライベート面においては結婚して家族を持つ人が増えていく時期とも重なります。
また、近年クォーターライフクライシスが注目される機会が増えており、これには現在の社会特有の問題も関係していると言われています。
クォーターライフクライシスに陥る人の割合はかなり多い
LinkedInの調査によると、25歳から33歳の若者の実に約75%もの人がクォーターライフクライシスを経験しているとの報告が出ています。
この数字の多さから、クォーターライフクライシスとは一部の人にとっての問題ではなく、同年代の多くの人に共通の問題として取り組むべき問題であることがわかります。
クォーターライフクライシスが最近注目される理由は?
クォーターライフクライシスが近年注目されている理由は、Z世代がこのクォーターライフクライシスに当たる世代になっていること、そしてSNSの普及が影響していると言われています。
デジタルネイティブであり、比較的幼い頃からSNSに慣れ親しんでいる世代です。SNSは見ている人の劣等感を増幅しやすいメディアであるため、その影響を受けやすいZ世代はクォーターライフクライシスに陥りやすいと言われています。
またZ世代は自分の価値観を大切にし、仕事とプライベートの両立を求める世代です。しかし、いまの社会構造はZ世代よりも古い価値観で形成されているため、Z世代は理想と現実のギャップに悩みやすく、クォーターライフクライシスに陥りやすいと言われています。
ミッドライフクライシスとの違いは?
ミッドライフクライシスは、40代から50代の中年世代で見られる心理的な問題です。この時期になると、人々はこれまでの人生に対して疑問を抱くことが増え、自分の人生の意味やこれまで成してきたことに疑問を持つようになります。焦りや不安感を感じることも多くなり、人生に対して変化を起こさなければという衝動に駆られることもあります。
ミッドライフクライシスとクォーターライフクライシスは、両者とも自分の人生に対する疑問や焦り、不安感を感じる点では共通していますが、それが起こる年齢と悩みの原因が未来か過去かによる違いがあります。
ミッドライフクライシスは40代から50代の中年世代が中心であり、これまでの人生に対する疑問が主な原因となります。一方、クォーターライフクライシスは20代後半から30代が中心であり、これからの人生に対して感じる問題が主な原因となります。
25歳の壁とクォーターライフクライシスの違いは?
25歳の壁はクォーターライフクライシスと広義において同じと捉えられる場合もあります。
また他のパターンとしては、25歳の壁はとくに25歳前後に多くの若者が経験するキャリアにおいての問題を指す場合も多いです。
キャリアにおける25歳の壁問題の1つには、25歳を超えると仕事に対して求められるレベルや職務上の責任が増え、それがプレッシャーとして重くのしかかることがあります。さらに、25歳を超えると転職の難易度が上がることも、25歳の壁としてよく取り上げられる問題の1つです。
クォーターライフクライシスに陥る原因は?現代特有の問題も
心理的な危機をもたらすクォーターライフクライシスは、何が引き金になって起こりやすくなるのでしょうか。その原因となりやすいものをここから紹介していきます。
理想と現実のギャップ
社会人になって現実社会に触れるようになると、多くの人は理想と現実の差に悩み始めます。多くの人は20代後半から30代は人生で一番輝かしい時期になると思っていますが、いざ現実に向き合ったとき、理想と現実のギャップが大きいほど、精神的なダメージも大きくなってしまいます。
SNSの普及
SNSの普及は、昔よりも多くの人とのつながりを提供するようになりましたが、その反面、多くの人との比較にさらされるようにもなりました。その結果、自分よりも成功している人、生活が充実している人の投稿を見て劣等感を感じ、自信を失う人を増やしている原因にもなっています。
長寿化
今は平均寿命が80際近くまで伸びている現代社会では、クォーターライフクライシスを感じる年代から見れば、まだかなりの人生が残されていることになります。仕事やプライベートにおける困難や、不安定な社会の見通しの中、今後の長い人生を考えることは、将来に対する不安を感じやすくさせてしまいます。
仕事の悩み
クォーターライフクライシスの世代は、上司との関係、部下の教育など、仕事における責任や負担が徐々に増えてくる年代でもあります。人によっては転職して大きく環境が変わり、新たな困難に立ち向かっているかもしれません。また、今後のキャリアプランについて頭を悩ませることが多くなるのもこの時期です。
今後のキャリアについて悩んでいる人は、次の記事も合わせてお読みいただくと、悩みが早く解決できます。
社会の変化
昔は20代で結婚、子供を持ち、定年までと言う固定されたスタイルが主流でした。現代では価値観が多用化し、昔に比べると選択の自由はかなり増えました。
しかしそれは同時に、多くの選択肢から自分の道を選び出すという困難に直面する機会が増えたことも意味します。自由と理想の狭間で、最適な選択は何かとの悩むことは、クォーターライフクライシスの世代の悩みを深めることにつながっています。
結婚社会の変化
昔に比べ晩婚化が進みましたが、それでもまだ20代後半から30代は結婚の適齢期とみられています。結婚適齢期との自覚や、周りからのプレッシャー、次々に結婚する同期の姿は、クォーターライフクライシスの他の悩みと相まって、この世代を常に悩ませ続けることでしょう。
クォーターライフクライシスになりやすい人の特徴は?
クォーターライフクライシスの原因について知ったところで、具体的にどのような人がクォーターライフクライシスに陥りやすいのかについても知っておきましょう。
もしここで当てはまる点が多ければ、あとで紹介する対処法をしっかりと学んでおくことをオススメします。
意欲的、理想の高い人
意外かもしれませんが、意欲的であったり、理想の高い人はクォーターライフクライシスになりやすいと言われています。このような人たちは常に自分自身に高い目標を設定し、それを達成するために熱心に努力を重ねます。
しかしその一方で、このような人たちは自分の設定した高い基準に達しないときに、大きな失望や不安を感じてしまいます。また、自分自身と他の人とを比較し、他人の成功や幸福に嫉妬する傾向がある点も、クォーターライフクライシスの引き金になりやすいところです。
理想の自分になりたいが、自分の強みがわからない人は「RYOMEI」のキャリアコーチングがおすすめです。1人で闇雲に努力するよりも、プロのコーチングを受けることでスムーズに理想の自分になれます。
他人が気になる人
他人が気になりやすい傾向がある人も、クォーターライフクライシスを経験しやすい人たちです。
このような人たちは、他の人の意見や評価にとても敏感で、自分自身を常に他人と比較してしまいがちです。このため、他人からの承認や評価が得られなかった場合には自信を喪失し、自己肯定感が低下してしまいがちです。
流されやすい人
他人の意見や社会的な流行に流されやすい人も、クォーターライフクライシスになりやすい傾向があります。
他人が気になりやすい人は、自分の確固たる強い意志や価値観を持つことが難しく、他人の意見や期待に同調して、自分を無理に変えてしまいがちです。
このような流されやすさが、自分自身の本当の欲求や目標を見失う原因となり、クォーターライフクライシスを引き起こす原因となることがあります。
切り替えが下手な人
切り替えが下手な人は、過去の出来事や失敗を引きずりやすく、それが全てに悪い影響を与えがちになります。過去の出来事に囚われたまま、新たなチャンスや可能性を見逃してしまうことが多くなると、先で後悔する原因となってしまいます。
SNSをよく使う人
近年のクォーターライフクライシスの大きな原因といわれているのがSNSです。SNSは他人と比較する機会を提供しやすく、他人の成功や幸福を常に目の当たりにするようになります。これにより、自分自身の価値や幸福感を見失い、劣等感を抱え続けることになり、クォーターライフクライシスに突入する可能性を高めてしまいます。
5つのフェーズを知って乗り越えるイメージをつけよう!
クォーターライフクライシスの原因や、なりやすい人の特徴を知ったら、具体的にどのように対策をしてクォーターライフクライシスを避ければ良いかを知りましょう。
クォーターライフクライシスは、次の5つのフェーズをたどって乗り越えられると言われています。
フェーズ1:自分と現状に疑問を抱く
フェーズ1では、自分自身を閉じ込めているような感覚に陥ります。仕事や恋愛など、自分が選んだ道に後悔したり、選択肢に悩んだりすることがあります。毎日の仕事やプライベートが自分の手を離れ、勝手に進んでいるかのように感じられることもあります。このステージでは、自分の選択に疑問を投げかけ、それが本当に自分の価値観や夢に合致しているのかを考え直すことが重要です。
フェーズ2:変化への渇望
フェーズ2では、過去の選択に疑問を抱き、現状を打破するために行動することの重要性を感じ始めます。このフェーズでは、自分自身を変えるための覚悟が芽生え始め、新たな可能性を追求する勇気が湧いてきます。
フェーズ3:自由のための決別
フェーズ3は、自分を制限していると感じていた要素から、実際に解放されるための行動を起こすフェーズです。仕事を辞めたり、恋人との関係を終わらせたりすることで、自分を閉じ込めていたものから解放され、自分にとって大切なものを見つめ直す時期に入ります。
フェーズ4:人生の再構築
フェーズ4は、ゆっくりとしたペースで人生を再建していくフェーズです。このフェーズでは、自分自身の目標や価値観を見つけ、それに向かって進み始めます。
フェーズ5:情熱を持って生きる
フェーズ5では、クォーターライフクライシスからの解放されるフェーズです。このフェーズまでたどり着いた人は、自分の興味や関心に合った道を見つけることができ、それに情熱を持って取り組めるようになり、再び人生を意味あるものとして歩んでいけるようになります。
クォーターライフクライシスは予防できる?
クォーターライフクライシスは、冒頭でも紹介したように、該当する年代の約75%が陥る可能性があります。
さらにクォーターライフクライシスは、社会的なプレッシャーや周囲の人との関係、不確かな未来など、さまざまな要素が重なって発生します。何が原因かは個人によって異なるため、一概に予防することは難しいでしょう。
ですが、それは同時に周りの多くの人も、大なり小なり同じ苦しみを味わっていることを意味し、決してあなた一人が陥っている問題ではないことに気づくことは大切です。
このあと紹介する対処法や、時には他の人の手を借りて、少しでも早く適切な対処をしていくことが、クォーターライフクライシスからの早期の脱却に重要だと言えます。
おすすめのクォーターライフクライシス対策法5選
ここからはクォーターライフクライシスに陥ったときに役立つ対処法を、わかりやすく5つに分けてご紹介していきます。いましっかりと覚えておいて、必要なときにできる対策は積極的に実戦していってください。
比較を控える
他の人と自分を比べることは、自己評価を下げる大きな原因となりやすいです。不必要な比較を減らすことを心がけていきましょう。
他人のとの比較の原因となる膨大な情報が流れる、SNSなどの外部からの情報を遠ざけることは有効な対策となります。
比較をなるべくしないためには、自分のペースを保つことは重要です。自分自身の成長や進歩を見つけるために、他人とではなく、自分との比較に集中するは役立つ対処法となるでしょう。
問題と向き合う
問題解決のためには、何が問題なのかを明らかにすることも重要です。問題に向き合うことは時に苦痛を伴いますが、クォーターライフクライシスの期間が長引くのを避けるためにも、ここでしっかりと問題に向き合いましょう。
このとき、解決を急ぎすぎないことは重要です。たとえば仕事をいきなり辞める、恋人とすぐ分かれるようなことは避けましょう。まずは冷静になって分析、時に話し合いが必要です。
問題と向き合うことは、自分の強みや興味を新たに発見することにもつながります。これは、クォーターライフクライシスのフェーズ4以降の行動を考えるときにも役立ちます。
仕事で強い行き詰まり感を感じて、どうしようもない気持ちになっているなら、こちらの記事も読んでみてください。
他の人に相談する
問題を抱え込まず、他の人に相談することも有効な対処法になります。周りの人に相談することで、新たな視点や解決先に気づけることも多いでしょう。友人や家族、信頼できる先輩や上司など、自分にとって頼りになる人に相談してみましょう。
また、睡眠障害や摂食障害、うつなどの症状がある場合には、専門機関に相談することも大切です。専門家の助言を受けることで、より効果的な対策を立てることができます。
リフレッシュ方法を見つける
問題に向き合い、鬱々とした気持ちが続くばかりにならないよう、リフレッシュ方法を見つけておくことも大切です。
趣味やスポーツ、自然に触れることなど、自分に合ったリフレッシュ方法を、できる範囲から取り入れてみることをオススメします。
また、定期的な休息や十分な睡眠も大切です。心と体のバランスを整えることで、クォーターライフクライシスを乗り越える力を養っていきましょう。
日々を丁寧に生きる
問題に日々追われていると、色々なことがおろそかになりがちです。毎日の細かいことでも丁寧に過ごすことは、不思議と心の平穏をもたらします。それは自分だけでなく周りを大切にすることにつながり、やがて周囲を含めて穏やかな生活をもたらすことにも役立ちます。
まとめ
クォーターライフクライシスは、20代後半から30代の多くに起こりうる共通の問題です。とくに現代におけるZ世代やSNSの普及と言った固有の問題も相まって、近年は注目されることが増えている問題です。
クォーターライフクライシスの原因は多岐にわたるため、一概に予防することは難しいかもしれません。しかし、クォーターライフクライシスから抜け出すための5つのフェーズを知り、対処法を組み合わせて対応していけば、クォーターライフクライシスからの早期の脱却も可能になるでしょう。
クォーターライフクライシスに悩んでいる人は周りにも多くいます。一人で問題を抱え込まず、時には周りの力も借りながら、この危機を乗り越えていってください。