企業や組織の一員として業務や生活にも慣れ、ある程度のタイトルを得ることや、後輩の指導など心身ともに充実してくる30代。仕事やプライベートでも充実期と言っても過言ではありません。そして、自身の人生のこれからについて模索し、仕事でもキャリア形成についても模索を始める時期ではないでしょうか。ライフイベントの中でも人生の転機とも言える結婚や、女性であれば出産など様々な変化がある年頃とも言えます。
本記事では、キャリア形成について、成功を目指す5つのポイントについて具体例などを含めて解説します。
キャリア形成とは?その重要性を知ろう!
キャリア形成とは、5年後・10年後のなりたい職業や仕事に関するスキルを身につけ、経験を積み重ねることです。キャリア形成を行うことで、自身が身につけるべきスキルが明確になり、自己成長やキャリアアップを実現しやすくなり、仕事においてより高い満足感や達成感を得ることができます。
キャリア形成は自己肯定力を高める行為であり、自身が成長を遂げ、自らを認めることができれば仕事のモチベーションも高まります。このような成長や目標達成の円滑なサイクルを作る上でもキャリア形成は重要です。
30代のキャリア形成が重要視されている理由!その原因は多様な変化にある?
近年、社会やビジネスの環境は急速に変化しています。グローバル化やデジタル化の進展により、競争が激化し、仕事の内容やスキル要件は常に変動しています。近年では、AIを活用することで、人間が関わる必要がなくなり、人間の仕事がなくなっていることが考えられます。このような社会や仕事の変化に対しても、常に企業から求められる人材になるため、自分の能力を磨くキャリア形成が重要視されているのです。では、さらに具体的にキャリア形成が重要視されている理由について解説します。
雇用形態の変化
「終身雇用」という言葉が聞かれなくなり久しくなりました。かつてのような一つの企業に長期間勤め続けることが難しくなっています。さらに、派遣やフリーランスなどの非正規雇用が増え、自身でキャリアを築く必要性が高まってきました。自身でスキルや経験を積み上げ、能力を高め様々な働き方を選択することが求められています。逆を返せば、キャリア形成を行わなければ、望むような雇用の元就業できないと言えます。
ライフプランの変化
ライフプランの変化も大きく影響しています。結婚や出産、子育て、介護など、ライフイベントもキャリアに大きく影響を与えます。「いつごろ、どこで、どんな状態の自分でいたいか」などを含め、ライフプランも踏まえた上でキャリア形成をすることで、将来のライフプランを見据えた上で時間的、経済的にもバランスの取れた生活を送ることができます。
働き方の多様化
テレワークやフレックスタイムなど、働き方も多様化しています。特に新型コロナウイルス感染症の感染拡大以降さらにその考え方が加速しました。例えば、これまで営業職で会社の外に出る機会が多かったが、子育てを機に希望をすることで、内部管理に転向するなども可能になっています。それには自身が新たな部門の業務について学んだりすることも必要でしょう。しかし、仕事をする、生活をする上で選択肢を増やしたことになります。このように、キャリア形成を通じて、自身の働き方を選択し、仕事とプライベートの充実を図ることが可能です。
テクノロジーの進歩
AIやロボットなどのテクノロジーの進歩により、仕事のあり方が変わっています。キャリア形成をすることで、テクノロジーに対応したスキルや知識を身につけ、変化に柔軟に対応することができます。AIやテクノロジーをいかに使いこなすには学習が必要であり、持ちうる機能でいかに仕事を効率化するかを含め、今後は非常に問われるスキル、能力のひとつになるでしょう。
30代がキャリア形成を考えるメリットとは?
では、キャリア形成をすることは、どのようなメリットがあるのでしょうか。考えてみましょう。主に、以下のようなメリットがあります。
スキルの棚卸しができる
キャリア形成を行う上で、自身を客観的に見ることができます。その中で、自身のスキルや経験を棚卸してみると、自身の強みや課題を把握することができます。それ以外にも自分の能力を客観的に見る機会はありません。強みはさらに向上させ、弱みは補強するなど棚卸しをすることができます。
弱みや今すべきことの確認ができる
自己分析を通じて、自身の弱みや今するべきことを見つけることができます。30歳という年齢を迎えて、何ができて何ができないのかを明確にすることで、どんな資格や知識や技能を身につけるべきかが明確になります。弱みだけではなく、強みも知ることができ、自身の新たなポテンシャルに気づくことができる場合もあります。
将来の目標設定、ライフプランニングができる
キャリア形成を通じて、将来の目標設定やライフプランニングを考えることができます。スキル、強みや弱み、棚卸しや自己分析を通じて自身を知ることで、いくつまでにどんなポジションにいたいかなどを明確にすることができます。目標やライフプランニングが明確になることで、キャリア形成が容易になります。
キャリアアップにも役立ちます!
キャリア形成をすることで、目指すべき姿と身につけるべきことが明確になり、キャリアアップの機会が増えます。キャリアアップをすれば、同時に報酬も増えてきます。また、能力やタイトルが伴うことで働き方も多様になってくるでしょう。働き方、プライベート、報酬の全てにおいてメリットが大きいと言えます。
30代のキャリア形成の考え方
キャリア形成の考え方は大きく分けて以下の4つがあります。考え方の基本、軸をしっかり持つことで、その後のキャリア形成も強固なものとなるでしょう。では考え方の基本についてみてみましょう。
自己分析から考える
自己分析を行い、自身の強みや興味・関心を把握し、それらをもとに目標を定めます。
「明確な自己分析ができているか」が、キャリア形成で成功する人と失敗する人の違いといっても過言ではありません。30代の人材に求められるものは「即戦力」や「リーダーシップ」です。先にも述べたように、自分のこれまでの経歴や経験、資格、スキル、人脈など、棚卸を行います。自分の強みや弱みなどをしっかり把握していることが重要です。
自己分析が的確にできていれば自分がなりたい自分も明確になります。これらを総合して、考えてみることもひとつです。中には、自己分析をすることで前向きな理由が見つからない、マイナス思考になってしまう人もいるでしょう。それでも、改善点が1つでも見つけられればそれで問題はありません。その一点をクリアにしていくことを繰り返すことでキャリア形成として前進できます。
目標を定めて考える
「こんな仕事をしたい」「何歳までにこんなポジションにありたい」「仕事と暮らしを両立したい」「年収をこれくらいにしたい」「人にこの商品を伝えたい」「自分の能力を生かしたい」などこのように目標を定め、明確にし、考えることも重要です。目標を定めれば、それを達成するには何が必要なのかが明確、クリアになります。「自己分析が難しい」、と感じる人は目標を定めることから始めてみましょう。
自身の価値観から考える
何か行動を起こす時、人間は誰しも自身の価値観や人生の理念に基づいて考え、行動します。そして自己実現を図りながら成長を遂げます。キャリア形成も同じと言えます。自分の価値観から「こうしたい」「こうあるべき」を見つけ出してみましょう。
やりたくないことからを考える
やりたくないことを明確にし、それを避けるためのキャリア形成をすることも重要です。目標や価値観など見直しをしても目指すこと、やりたいことが見つからない方もいるでしょう。その場合には「力仕事はしたくない」「責任のあることはしたくない」「人と関わる仕事はしたくない」「土日が休みじゃない仕事はしたくない」などやりたくないことから考えることもひとつの方法です。このように引き算をしていくことでやりたいことが明らかになっていきます。
30代前半・後半で見る、キャリア形成の考え方
30代前半のキャリア形成では、将来のキャリアの方向性を考え、必要なスキルや知識を積極的に身につけることが重要です。一方、30代後半のキャリア形成では、経験や実績を活かして、リーダーシップやマネジメント能力を磨くことが求められます。30代前半・後半で見る、キャリア形成の考え方について注意するポイントなどを探ります。
30代前半のキャリア形成の考え方
30代前半のキャリア形成では、先述したように、将来のキャリアビジョンを明確にすることはキャリア形成を成功させるためにも重要です。その目標を達成するために、必要なスキルや知識を習得することや自身が希望する業界や企業のトレンドを把握するなど情報を得て、情報の更新をしていくことも大事でしょう。そして、積極的に経験や実績を積み、仕事の仕方をはじめ人間としても能力を活かすことができる魅力ある人として成長することが必要です。
30代後半のキャリア形成の考え方
30代後半のキャリア形成では、中堅にも差し掛かり、リーダーシップやマネジメント能力が求められます。これまでの経験を元に他者への影響力を持つ行動や発言ができるよう研鑽を積みます。そのことで、プラス思考であり、自己肯定感を高めることも重要です。この自身の気持ちの持ち方が、今後の人との関わり、上司としてのコミュニケーションにも大きく影響します。
キャリア形成で後悔しないためには?そのための5つのポイントを解説!
最後に、キャリア形成を成功させるためには、以下の5つのポイントを解説します。ぜひ参考にし、行動できる、心がけられるところから実行してみましょう。
自身を客観視する
自身を客観視してみることも重要なポイントです。キャリア形成の章にて、自己分析の重要性について解説しましたが、その分析が正しいものなのか、他の人から見た自分はどのようなポジションなのかを知る機会があると良いでしょう。
意外に、自分の思っているポジションと違う場合もあります。また、何かに対して悩んでいたり、一人で考えているときは視野が狭くなっていることもあるでしょう。このような時はエージェントや話を聞いてくれる人などに相談し冷静に自分を外部から見てみます。アウトプットすることで、自分の考えが整理できます。
計画・行動を明確にする
自身の目標や希望を明確にし、具体的な計画と行動を立てることが必要です。30代は20代と比較して、キャリアの選択肢が少なくなることも現実です。例えば、転職で言えば「転職35歳限界説」と言われるように、特に30代後半になるとさらに「職場を変える」「キャリアの鞍替え」に対して厳しさがましてくるため時間的な余裕もありません。「35歳までに」「10年後に」「部長になる」「資格を取得する」「こんなプロジェクトを実現する」など計画、行動を明確にすることが重要です。「なんとなく」「いつかは」と時間的な軸も行動も明確でないとその曖昧さに流されてしまい着実な行動ができません。ここは大きなポイントと言えるでしょう。
ライフプランを設計する
将来のライフプランを考え、キャリア形成をその一部と位置づけましょう。結婚、出産、家を建てる、移住するなどライフプランは時間軸にもなります。ライフプランを設計しキャリア形成の一部にしていないと、ライフプランの変化により仕事ができなくなる、計画倒れになってしまったということもあります。今、一人の時間軸でなく、未来やライフプランに関わる人も視野に入れることがポイントです。
新しいスキルを習得する
変化する社会やビジネスに対応するために、新しいスキルを積極的に習得しましょう。仕事に必要なこと、今後必要になりそうなことなどを含め、新しいスキルは十二分に取得することをおすすめします。就業先の事情なども含めて可能であれば、副業を通して興味のある仕事にトライしてみるのもスキルを獲得するひとつの選択肢です。スキルアップ、新たな能力開発に繋がります。
知識や知恵、技能は決して無駄になることはありません。多様性が叫ばれる今だからこそ、幅広い視野やスキルを得ている人材はキャリア形成も実現することができます。
定期的に見直しと情報の更新をする
キャリア形成は一度きりのものではありません。定期的に自身を振り返り、最新の情報にアンテナを張ることが重要です。これでいいと考えた時点で成長は止まってしまいます。いつも積極的に学びながら新しい自分、アップデートされた人であることが重要です。
まとめ
30代のキャリア形成は、自己成長やキャリアアップを目指す上で重要な期間です。自己分析や目標設定、スキルの習得、情報の更新など、さまざまな要素を考慮しながら、自身のキャリアを形成していきましょう。成功への道のりは一筋縄ではいきませんが、自身の力を信じて挑戦し積極的な行動や学び続けることで、キャリアアップへの道を切り拓くことが可能です。